2023年の主な税制改正
新たに110万円の基礎控除が追加
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上子または孫に対して、2500万円までの範囲内で贈与税が課税されることなく贈与が可能となる一方で、相続が発生した場合には相続時の財産に加算して相続税が課税される制度の事です。早い段階で財産を移転しておきたい、将来的に評価額の上昇が見込まれる金融財産を増加させるような収益物件など、一定の条件下でのみ検討されることが多かった印象です。
一度この制度を適用した場合には、その後は年110万円までの非課税枠適用(暦年課税)を受けることができなくなるため、その適用には十分な検討が必要でした。 令和5年税制改正により、この相続時精算課税制度においても2500万円の控除枠とは別に110万円の控除枠が使えるようになり、実際に相続が発生した場合において加算される財産の取得価額にも含めなくて良いことになります。
財産が災害を受けた場合の評価額減額
これまで相続時精算課税制度を適用して生前贈与した財産は、相続時においては「贈与時の評価額」をもって相続財産への加算が必要でしたが、取得した財産が一定の土地または建物であって、申告期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、その被害部分に相当する額を控除した残額を、相続財産に加算すべき評価額とすることとされました。
生前贈与の相続税課税価格への加算期間等についての見直し(令和6年1月1日以降から)
相続または遺贈により財産を取得した者が、相続開始前3年以内に被相続人から生前贈与によって取得した財産がある場合には、贈与時の財産価額により相続財産に加算されますが、この期間が7年以内に贈与により取得した財産が対象となり対象期間が延びます。 ※相続開始前3年以内はその全額、4年~7年以内に贈与した財産については、合計額から100万円を控除した残額が加算対象となります。
2022年の主な税制改正
住宅取得資金の一括贈与
直系尊属(親や祖父母)から住宅を取得するための資金贈与を受けた場合の、贈与税の軽減を図る制度。省エネ住宅1,000万円、それ以外の住宅500万円となっています。
中古住宅要件の廃止・・改正前までは、この制度の対象となる家屋の要件は取得日以前20年以内(耐火建築物は25年以内)という要件がありましたが、新耐震基準を満たしている事を条件に、これが撤廃されました。
成人年齢引き下げに伴い、2022年4月以降の贈与からは、資金の提供をうける受贈者の対象年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。
2022年4月以降の未成年者控除
未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。また年数の計算にあたり、1年未満の端数があるときは、1年として計算します。(成人年齢が満20歳から満18歳に繰り下げられました。2022年4月1日以降)
なお本人の相続税から控除分を引き控除しきれなかった分がある場合は、その人の※扶養義務者の相続税から引くことが出来ます。※扶養義務者とは・・一般的に、配偶者、直系血族および兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。
民法改正
相続税の改正に関しては下記のバナーから法務省の説明にアクセス可能です。
40年ぶりとなる、大幅な民法改正が行われました。
平成29年11月2日
引用元 法務省ウェブサイト:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html
平成29年12月15日更新
平成30年 3月23日更新
平成30年 5月10日更新(改正事項別の説明資料のファイルを掲載しました。保証及び消費貸借に関する説明資料を修正し,債務引受及び寄託に関する説明資料を新しく追加しました。)
平成31年 3月27日更新(
「民法の一部を改正する法律の概要」の欄に経過措置に関する説明資料を新しく追加しました。「ポスター・パンフレット」の欄に「事件や事故に遭われた方へ」,「賃貸借契約に関するルールの見直し」及び「売買,消費貸借,定型約款などに関するルールの見直し」を新しく追加しました。)
令和元年 6月5日更新 (経過措置に関する説明資料を修正しました。)
法務省民事局
令和元年12月27日更新 (「ポスター・パンフレット」の欄にマンガ「桃太郎と学ぶ民法(債権法)改正後のルール」を新しく追加しました。)
平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立しました(同年6月2日公布)。
税制改正
当サポートセンターでは相続税が発生する方の申告はもちろん、各種特例を使用した際の申告のサポートもいたしております。
これまで、相続税の課税割合は、全国的には相続発生件数の4.2%強と少なく、一部の富裕層のみが申告する、いわゆる「贅沢税」的な色合いが強いものでした。
しかしながら、2015年1月1日より適用されました「2015年度税制改正」によって、基礎控除の引き下げや相続税の最高税率のアップ等が盛り込まれ、施行後は広く一般の家庭でも相続税が発生する可能性が高くなりました。
特に東京都23区内の場合は、不動産価格が高いため、ご自宅と預金・株式を保有でしている程度でも、相続税申告の課税対象者となる可能性が高く、都内での課税対象割合は10%を超えるとも予想されています。
そこで、税制改正が施行され、相続税がかかることがわかってから慌てないためにも、相続税の仕組みを理解して、1日も早く相続税対策を行って行きましょう。
※「2015年度税制改正」は2015年1月1日以降適用されております。
「2015年度税制改正」の要点
1)基礎控除の大幅な引き下げ |
税制改正について〜2015年度税制改正のポイント〜
それでは、2015年1月1日より適用された「2015年度税制改正」に基づいて、主なものを挙げました。そのポイントを確認いたしましょう。
尚、実際の相続税発生可能性等につきましては、必ず専門家に確認下さいますようお願いいたします。
1.相続税の基礎控除の縮小
改正前 | 現行法 | |
定額控除部分 | 5,000万円 | 3,000万円 |
比例控除部分 | 法定相続人1人あたり1,000万円 | 法定相続人1人あたり600万円 |
2. 相続税の税率構造の増加と最高税率のアップ
改正前 | 現行法 | ||
金額区分 | 税率 | 金額区分 | 税率 |
1,000万円以下の金額 | 10% | 1,000万円以下の金額 | 10% |
3,000万円以下の金額 | 15% | 3,000万円以下の金額 | 15% |
5,000万円以下の金額 | 20% | 5,000万円以下の金額 | 20% |
1億円以下の金額 | 30% | 1億円以下の金額 | 30% |
3億円以下の金額 | 40% | 2億円以下の金額 | 40% |
- | 3億円以下の金額 | 45% | |
3億円超の金額 | 50% | 6億円以下の金額 | 50% |
- | 6億円超の金額 | 55% |
3.20歳以上の者が直系尊属からの贈与を受けた場合の軽減税率の新設
20歳以上の者が直系尊属からの贈与を受けた場合の税率早見表
基礎控除及び配偶者控除後の受贈財産額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下の金額 | 10% | - |
200万円超400万円以下の金額 | 15% | 10万円 |
400万円超600万円以下の金額 | 20% | 30万円 |
600万円超1,000万円以下の金額 | 30% | 90万円 |
1,000万円超1,500万円以下の金額 | 40% | 190万円 |
1,500万円超3,000万円以下の金額 | 45% | 265万円 |
3,000万円超4,500万円以下の金額 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
4.未成年者控除及び障害者控除の引き上げ
(1)未成年者控除
改正前 | 現行法 |
20歳までの1年につき6万円 | 20歳までの1年につき10万円 |
(2)障害者控除
改正前 | 現行法 |
85歳までの1年につき6万円 (特別障害者については12万円) | 85歳までの1年につき10万円 (特別障害者については20万円) |
5.相続時精算課税制度の年齢制限の引き下げ
相続時精算課税の受贈者の年齢引き下げと受贈者の範囲の拡大
改正前 | 現行法 |
贈与者:65歳以上の親 受贈者:20歳以上の子 (既に子が亡くなっていて推定相続人になっている孫を含む) | 贈与者:60歳以上の親 受贈者:20歳以上の子及び孫 |
6.孫への教育資金の贈与の非課税制度の新設
新設 |
孫に教育資金を贈与する際、孫一人あたり1,500万円までを非課税とする制度が新設されました。 注意1.2013年4月-2015年12月までの限定措置ですが、2026年3月31日まで延長する見込みです。 (今後も延長の期限が変更となる場合がございます。) 注意2.贈与税は非課税でも「贈与申告」は必要ですので、忘れずに申告をして下さい。 注意3.教育資金贈与のためには、教育資金贈与のための専用口座が必要となります。 |
以上、基礎控除の引き下げ等により、広く一般の家庭でも相続税が発生する可能性が高くなりましたので、早めにご自分の相続税発生可能性を把握することをお勧めします。